マンション管理組合の理事さん必見!監視カメラは設置済みですか?
マンションに監視カメラが設置されていない場合、部外者や不審者が侵入したり、事件や犯罪が起こってしまう可能性があります。
監視カメラの必要性と管理組合の対応法をお教えします。
マンションに防犯カメラは必要なのか?
現在、分譲マンションの8割以上に防犯カメラを設置されていると言われています。その目的は何だと思いますか? マンションごとに異なりますが多いのは以下の理由です。
- マンションの近隣で犯罪が増えている
- マンション内に不審者が現れた
- マンションの駐輪場で自転車が盗まれた
- マンションの駐車場で車上荒らしが発生した
など。。。
身近で事件が起きてから設置を検討するケースがほとんどです。
マンションは事件などが発生すると、入居率が低下したり、資産価値が下がったりしてしまうことが考えられます。
防犯カメラを導入するマンションが増えているのはそのためです。
防犯カメラで解決できる問題
防犯カメラを設置することで、以下の問題を解決することができます。
- 敷地内への不審者の侵入を防ぎたい
- メールボックスへのいたずらや不当投稿を防止したい
- 駐車場・駐輪場の車上荒らしや盗難、イタズラの防止したい
- ゴミ置き場の不法投棄の監視したい
- エントランス、非常階段の不審者のチェックしたい
など
防犯カメラを設置するメリット
事件・事故が発生した際の証拠(映像記録)となる
事件・事故発生が発生した際の有力な証拠となります。
あるマンションで不審者が現れたとの問い合わせがあり映像を確認しました。
エントランスに設置されたカメラ映像に不審者の姿がはっきり映っていました。こちらの管理組合ではマンション内の居住者の方に写真付きの文書で注意喚起を行うことができました。文書だけでなく、写真があると防犯対策としてもとても有効です。
また、共用部の設備が壊されるという事件が起きた際に、カメラ映像に犯人の姿が映っていたことで修理代金を弁償してもらうことができたこともありました。
マンション内のトラブルを抑止する効果がある
マンションに防犯カメラを設置することで、マンション内のトラブル・犯罪の抑止効果があります。『防犯カメラ設置しています』といった掲示をすることで、「見られている」という意識を与えることができます。
たとえば、ゴミ置き場にカメラを設置することで、回収できない(有料で引き取る)ゴミが捨てられることを抑止したり、仮に捨てられた場合は当事者を特定して引き取りをお願いしたりということができます。
防犯カメラを設置するデメリット
防犯カメラを設置することで犯罪の証拠や抑止になるというメリットがある一方でデメリットもあります。
定期的に防犯カメラの設備を交換する必要がある
防犯カメラは機械なので、ある程度年月が経つと故障する確率が高くなります。一般的な目安として6〜8年毎に設備の交換を行いますので、交換費用が発生します。
防犯カメラ設置には買取りの他にリース・レンタルといった契約もあります。それぞれ保守がついているものとそうでないものとありますので、内容をよく確認して契約する必要があります。
なお、交換費用については配線などは既存のものを使用できる場合、初めて防犯カメラを導入した際よりも金額が抑えられることがありますので、業者や管理会社に確認してみてください。
居住者の方のプライバシーに触れる
設置する場所にもよりますが、少なからずマンション居住者の姿・行動が映ることになります。管理組合がカメラを常時確認することはほとんどありませんが、防犯カメラの映像がプライバシーに抵触することは総会などで居住者に説明しておく必要があります。
トラブルを防ぐために運用ルールの作成は必須
防犯カメラの設置は居住者のプライバシーに関わります。昨今、個人情報保護法などでプライバシーに関することは頻繁に議論されています。このことを住民と話し合うことは重要で、運用のためのルール(使用細則)を決めておく必要があります。マンションの約款に記載できれば一番いいでしょう。
以下にマンション管理センターの資料を参考として記載します。この使用細則は管理組合が防犯カメラを設置することを前提として、いくつかのポイントを整理したものです。
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(1)防犯カメラ設置の目的
防犯カメラの設置は、マンションの共用部分、附属施設、敷地を対象とし、マンション内における犯罪及び毀損行為等の防止、抑止を図り、防犯性の確保及び管理組合の財産の維持保全に資することを目的としています。このことを、まず組合員等に理解してもらう必要があります。
このため、この細則モデルでは、設置しようとする防犯カメラが、マンションの敷地外やマンション内の特定の住宅を重点的に監視することは想定しておりません。
また、防犯カメラの中には、ネットワークを利用し、それを自宅や外出先等でモニタリングして犯罪行為の未然防止に資する形式もあります。しかし、現在マンションで利用されている防犯カメラの大部分は、その情報記録を犯罪行為等の事後確認などに使用するものですので、それを前提としてこの細則モデルは作成されています。
なお、カメラのモニターについては、管理員が常時モニターを監視することは、警備業法との関係やプライバシー保護上問題が生じる恐れがあることから、通常はモニターの電源を落としておくことを前提としています。
(2)総会の決議を必要とすること
① 防犯カメラを新たに設置する工事は、マンション標準管理規約(単棟型)第48条の議決事項である第十五号「その他管理組合の業務に関する重要事項」が該当するため、総会の決議が必要です。
② 本細則モデルでは、防犯カメラの増設、全面又は一部の撤去、取付け位置の変更は、「カメラ設置」に含めたうえで、総会決議を要することとしていますが、設置角度の変更については、運用上の問題として理事会決議とすることも可能です。
(3)総会の決議要件等
① 防犯カメラの新設
防犯カメラを新たに取り付ける工事の総会の決議要件は、通常、普通決議により実施可能です。
ただし、防犯カメラを取り付ける工事内容によっては、共用部分の加工の程度が著しい場合、総会の特別多数決議が必要です。
共用部分の加工の程度が著しい場合というのは、防犯カメラを取り付けに際して建物内部の壁面や天井に大きな穴をあけ、そこに埋め込むような例が考えられますが、そのような取付事例は一般的ではなく、したがって、取付工事自体が共用部分の加工の程度が著しい場合に該当するということはあまり例がないといえます。
防犯カメラを新たに取付ける際の総会への議案は、防犯カメラの取付台数、取付場所、取付費用、施工会社名、維持管理費用、保守管理契約の有無(ある場合にはその費用及び会社名)、カメラの視角でのレイアウト図、各カメラの視角、記録媒体の性能、記録媒体の保管場所等をできる限り詳細に記載して説明し、理解してもらうことが不可欠です。
防犯カメラを設置することを計画する場合、まず防犯カメラを効果的に使用するため、逆光に強い防犯カメラや暗さに強い防犯カメラをどのような場所に設置すればいいのか、その場合の照明はどうすればよいか、カメラに映す人物像はどれくらいの大きさに映せばいいかということを理解し、そのうえで防犯カメラ機器の選択することが適切です。
そうすれば、効果的に防犯カメラの活用を図ることができるほか、設置に伴うトラブル発生の軽減にも大きく寄与することが期待できます。
② 防犯カメラの増設等
本細則モデルでは、防犯カメラの増設、全面又は一部の撤去、取付け位置の変更は、「カメラ設置」に含めたうえで、総会決議を要することとしていますが、その場合の総会の決議要件は、通常、普通決議により実施できます。
設置角度の変更については、運用上の問題として理事会決議とすることも可能です。
③ 防犯カメラ運用細則の制定
防犯カメラ運用細則は、マンション標準管理規約第18条「使用細則」の規定に関する細則と考えられるため、総会の普通決議により制定し、改定又は廃止することができます。
防犯カメラを新たに設置する場合は、個人情報及びプライバシーの保護に十分配慮する必要があるため、運用細則の制定等により、管理組合の運用ルールを定めておくことが重要です。したがって、総会の決議においては、防犯カメラの設置の決議に併せて運用細則の制定の決議をする慎重さが不可欠です。
ちなみに、個人情報保護法にいう「個人情報」と、「プライバシー」の違いについては、次のように理解されています。
個人情報保護法にいう「個人情報」とは「生存する個人に関する情報で、氏名、生年月日等、特定の個人を識別することができるもの」をいいます。
これに対して「プライバシー」とは、必ずしもその内容について一義的な定義はなく、伝統的には、私生活上のことをみだりに公開されない権利といわれ、また、近時は自己情報をコントロールする権利という考え方も有力になっています。
個人情報の保護によって得られる個人の権利利益は人格権で、その中心はプライバシーの権利ですが、その範囲は必ずしも一致するものではありません。個人の氏名、性別は個人情報ですが、プライバシーとまではいえないように、個人情報はプライバシーよりも広い概念ということができます。
つまり、個人情報保護法は、プライバシーを保護するための、一つの制度ですが、そのすべてをカバーするものではありません。個人情報の取扱いと関係のないプライバシー問題や、検索性のない個人情報の取扱いに関する問題は、個人情報保護法の主たる対象ではなく、基本的には、民法上の不法行為や刑法等の問題となります。
なお、人格権とは、個人の人格的利益(生命・身体・自由等の人の身体的側面及び名誉・信用等の人の精神的側面に関する利益)を保護するための権利のことをいいます。
(4)カメラの視角でのレイアウト図
防犯カメラ設置の際には、事前にカメラの視角でのレイアウト図を作成することが極めて重要です。なぜなら、防犯カメラに死角がないか、あるいは特定の区分所有者のドア周辺が常時映し出されていないか等の検証を行う必要があるからです。もっとも、カメラの視角でのレイアウト図については、相応の知識がないと正確に作成することができないことから、専門家に作成してもらう必要があります。
(5)理事会による閲覧
理事会で防犯カメラの記録映像を閲覧するには、どのような理由で、誰が、誰と、どの日時の閲覧をするのかを決めておく必要があります。
これは、記録映像に個人情報及びプライバシーに関わるものが多く含まれているため、一部の理事が勝手に閲覧することを防止するためです。
したがって、通常は共用部分や附属施設の維持保全のため、及び共同生活の秩序維持のための二つが、閲覧を認める理由になると考えられます。
誰と誰が閲覧するかを事前に決定しておくのは、お互いを牽制して、必要以外の部分は閲覧しないためのものです。
また、情報は閲覧する人が多いと漏れやすいことから、必要最小限の人数に絞ることが望ましいといえます。
(6)組合員等からの閲覧申請に対する対応
① 申請者
防犯カメラの設置後、組合員やその同居者、占有者やその同居者といった人たちから、専有部分に通じる廊下部分、自己の所有物(自動車等)、自分自身やその同居者に関しての記録映像を見たいという要望が出てくる場合があります。
たとえば、自宅内が荒らされ盗難の被害にあった、誰かが自分の自動車を傷つけたことなどを理由として記録映像の閲覧を希望する例が見受けられます。
また、マンションの外部をも映している防犯カメラを設置している管理合では、近隣の住民等から記録映像の閲覧請求がだされることがあります。
② 申請に対する対応
防犯カメラの記録映像には、個人情報及びプライバシーに関わるものが多く含まれていますので、管理組合として、どのような理由の場合に閲覧を許可するか、許可した場合は誰が立ち会うのか、また申請者に見せる必要があるのか、外部の申請者への対応はどうするかといった点が問題となります。
この点を明確にしておかないと、誰には見せたが、自分は閲覧拒否されたというような不公平感が高まり、組合員等の理事会に対する不信感が強まるおそれがあります。そのようなことのないよう、閲覧できる条件をできる限り事前に明らかにしておくことが、防犯カメラの運用には不可欠です。
(7)警察署からの閲覧・複写申請に対する対応
防犯カメラの記録映像には、犯罪行為に対して有力な解決の手がかりや証拠となる記録映像が含まれている場合があります。このため、警察署から記録映像の閲覧・複写の要望が寄せられることがあります。
犯罪行為の解決(犯人逮捕の協力)という面から、管理組合がどのような場合に防犯カメラの記録映像を閲覧や複写提供するのかを決めておかなければならない場合がありますから、防犯カメラ運用細則には、これらの対処の方法も規定しておく必要があります。
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防犯カメラを導入しよう
防犯カメラの最新トレンド
最後に最近の防犯カメラを紹介させていただきます。最近の防犯カメラの技術向上には、目を見張るものがあります。たとえば360度視野の録画や高解像度録画、音声も伝わる監視カメラなど、機能の性能も従来のものと比べて大きく進歩しています。大規模修繕の際に、こうした最新の防犯カメラシステムの導入を検討してみるのもいいかもしれません。常に最新情報をチェックしておくのは、防犯意識を高めるためにはとても有効です。
あとがき
私が住んでいるマンションには防犯カメラが設置されています。マンションに監視カメラなんて必要なのかなぁと思っていた矢先にごみ置き場に不法投棄した人物の写真がマンションの掲示板に張り出されました。
張り出された写真は少しぼやけており、この程度の品質なのかと残念に思ったのですが、後々聞いた話では防犯カメラにはばっちりと映っており、掲示にあたって当人のプライバシーを尊重し画像をぼかしたということでした。
もちろん、服装や背格好で本人が見れば自分であることはわかりますので、不法投棄されたごみは後日回収されました。
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